|
|
| エンタテインメントIPRビジネス研究 |

【はじめに】
現時点ではどう考えてもコンテンツがタイトル負けしておりますが、いずれはこのタイトルに負けないくらいに充実した内容にすることを目標に、ここに自身のライフワークである本研究についてまとめていこうと考えています。
本研究とは、エンタテインメント系(注)企業または業界において、主にIPR(知的財産権)をどのようにビジネス(経営)に活かすことができるのか、またそのためにはどうすればよいのか、また過去の事例はどうであったのか、の研究です。純粋な学問としてや机上の空論で終わらさず、実際のビジネスの現場での実効性を重視していきたいと考えています。
私が最初に知財の一端に触れたのは1990年のこと。特許明細書のワープロ入力のアルバイトでした。それから多くの素晴らしい方々との出会いに恵まれ、様々な知財実務を経験させていただき、2006年秋からはエンタテインメント系企業の知財担当者となりました。現在、日々実務を通しその奥深さに感嘆し、そして自身の未熟さを思い知らされ続けています。
さて、この世界にいるとよく知財万能論者に出会います。また弁理士資格さえ持っていればすべてOKといった思考回路の方にもよく出会います。残念ながら、いずれも私の考えとは相容れません。
まず私は決して知財万能論者ではありません。知財とは文明社会が作り出した経済システムの1ルールに過ぎないことを忘れてはなりません。知財は素晴らしい知恵の結晶ではありますが、利益を生むための道具であり手段のひとつなのです。つまり利益を生むために知財という手段を選択しなくてもうまくいくのでしたら、当然にそれで何か問題がある訳ではありません。さらには、知財を利用しないほうが、うまくいくことすらあるやもしれません。その場合、知財など捨ててしまえば(利用しなければ)よいのです。その選択も知財活用の一形態なのです。
次に、弁理士資格を持っていても、それを活かす術を持っていなければ何の意味もありません。もちろん資格は持っていても無駄ではありませんし、有資格者には心から敬意を表するものではありますが、企業が欲しい人材は資格者ではなく、実行力のある者なのです。実行力のある有資格者が理想ではありますが、現実として資格だけが必要な場合はいくらでも外部より調達することは可能なのです。それを忘れてはならないと思います。
今後も、すべての要素においてダイナミックに変化し続けるこのテーマを楽しみながら、でも謙虚に本研究を続けていきたく考えていますので、どうかご指導、ご鞭撻賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
(注)ここでいう「エンタテインメント系」とは音楽、映画、アニメ、マンガ、小説、キャラクタ、ゲーム、インターネット、ショーなどの様々なコンテンツが含まれる広義のカテゴリで捉えていただきたい。
【事例研究論文】
2008年3月に大阪工業大学知的財産専門職大学院を修了しました。その際の通常の大学院における修士論文に該当する事例研究論文の概要は以下のようなものです。
2002年にソニー・コンピュータエンタテインメント社の家庭用ビデオゲーム機「PlayStation」の振動コントローラが米国イマージョン社から特許権侵害で提訴された事件についてビジネス面、特許・知財面より総合的に系統立てて分析を行いました。本論文では、まず最初にそもそもビデオゲーム機におけるコントローラとは何かを明らかにしてから、本事件の特許で活用された米国独自の手続制度について整理しました。次に各種報道資料に加え米国証券取引委員会や米国特許商標庁、日本国特許庁等から本事件に関する様々な公的書類や契約書類等を入手することで一般には報道されていない部分を含む本事件の全貌を初めて明らかにすると同時に、本事件における知財戦略の巧みさを明らかにし、それらを参考に企業の知財活動についての提言を行いました。
本研究は非常に面白いテーマであったと思います。次々と明らかになる事実に興奮したことは一度や二度ではありませんでした。しかし大学院の論文には締め切りがあります。そのため、本論文は一応完成しているものの、まだまだ掘り下げられるべき要素が残されたままになっています。この論文は締め切り時点での研究結果をまとめたに過ぎません(論文とはすべてそういうものかもしれませんが)。よって今後も可能な限り本テーマを追いかけてみたいと考えています。
以下より本論文に関するPDFデータをダウンロードできます。
テーマ「ビデオゲーム機振動コントローラ訴訟にみる知的財産経営分析」
大阪工業大学大学院 知的財産研究科 下出 一 2008年2月9日提出
1.本文
2.発表時配布資料
3.発表時配布補足資料
(論文発表日:2008年2月16日)
※ 本論文が『知的財産専門研究 第3号』(大阪工業大学大学院 知的財産研究科 2008年5月発行 ISSN1882-2169)p.177-p.246に掲載されました。
2008年3月12日
2008年3月19日(微修正)
2008年6月24日(追記)
|
|
|